ちょっと時間があいてしまいましたが、塗料についての第五弾!上塗についてお話をしてみましょう。上塗塗料とは字のごとく一番上に塗装する塗料のことをいいます。ですからこの上塗塗料のことを仕上げ塗料、もしくはフィニッシュコート(最後に塗装する塗料という意味)、トップコート(一番上にくるという意味)などとも言ったりします。上塗塗料に求められる機能は第一には仕上がり感です。色物であればすっきりきれいに仕上がることが大切ですし、透明な塗料であれば透明性が求められます。さらに塗料の種類によっては塗膜表面の硬度であったり、発色性、光沢性など見た目の良さを追求されることが多くなります。第二には耐久性・耐候性です。上塗塗料の上には原則としてさらなる塗料はのりません。ということは上塗が外気と触れる、外的要因を一手に引き受けることになります。空気(酸素をはじめとする大気中のさまざまな気体)に対して強いのか弱いのか、その他 太陽光、水分、水蒸気、熱、気温といった自然界にある物質に対して、薬品、塩分、湿気、汚れ、水中、真空など特殊な環境下に対して、耐キズ性、耐衝撃性、耐磨耗性といった物理的な要因に対して、塗装した物をそれらの外的要因から守る最初の要が上塗塗料といえるのです。我々人間は下着を着て、セーターを着て、さらにコートを着るわけですが、上塗はそのコート役割をするわけです。雨をはじいたり、冷気を防いだり、そして中は暖かく保ち、濡れたり、汚れたりするのを防ぐ!それらとほとんど一緒の構図なわけです。ですから上塗塗料にはこれまでの下塗、中塗とは大きく違った機能を付与する必要があり、また塗膜となった時点で強固な膜となることが求められます。現在、上塗塗料の主力となっているのはウレタン樹脂を基調とした塗料が多く出回っていますが、これもウレタンという樹脂が強固で汎用性にすぐれているからです。よく家具などでウレタン仕上げとかフッ素仕上げと謳われている商品がありますがこれらがまさに上塗塗装の仕様を強調して表記した例です。ウレタン以外にも前述したフッ素、あるいはシリコン、さらに昨今はこれらの水性タイプが水性塗料の弱点を克服して環境問題やエコの認識とあいまって上塗塗料の主流になりつつあるのです。
これまで塗料の「塗装の段階における違い」について説明してきましたが、いわゆるこれが塗装仕様ということになります。もっともシンプルな塗装仕様が下塗-中塗-上塗の順序で塗装していくものになります。そして色々な塗装物によりこの塗装仕様が変わり、塗料の特性を最大限に引き出すことで長期の安定した美観保持と被膜保護が可能となるわけです。
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